サイトアイコン POTETO Media

就活解禁前におさらいしたい
日系企業4社の「兆超え」買収劇!

武田薬品工業が、アイルランドの製薬大手シャイアーに対して正式に買収提案をしました。

実現すれば買収金額は日本企業のM&A(合併・買収)としては最大の約7兆円。日本だけでなく世界中の経済界を揺るがせる大ニュースとなりました。

 

しかし、日系企業による海外企業の大型買収は決して今に始まったことではありません。2000年代以降、日本企業が海外企業の技術や海外の市場を狙って、超大型買収を仕掛けるケースが増えてきました。もちろん更なる成長の糧とするための大型買収も少なくありませんが、多くの場合、その背景には日本市場の縮小や持てる技術力の限界が挙げられます。

日本経済新聞のよると、金額が1兆円を超える案件は10件近くに迫ったそうです。こちらがその事例です。

ソフトバンク、攻めのM&Aで世界有数の「IT財閥」へ

ここ数年、大型買収を最も積極的に手掛けているのがソフトバンクグループです。2016年、イギリスのアーム・ホールディングスを3兆3000億円で買収しましたが、これはこれまでの日本企業による買収額としては最大として知られています。武田薬品工業によるシャイアー社の買収が成功したら、この記録を塗り替えることになりますが・・・。

ソフトバンクがアームにそこまでの額を投資した理由は、アームの技術が喉から手が出るほど欲しかったからです。アームはスマホ向け通信用半導体の回路設計で世界シェアの9割超を握り、圧倒的首位の座に君臨してしました。私たちが普段使うスマホのほとんどが、アームなくして存在し得ないほどだったのです。

そしてアームの可能性はそれだけではありません。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や自動運転車にも、アームが持つ技術が活用できるとみられています。

 

また、ソフトバンクによる大型買収の例としては、2013年の米携帯3位Sprint(当時)が挙げられます。

投資をするのには多額のキャッシュが必要です。そこで孫社長はデータ通信業界を牽引することによって新たなキャッシュを生み出そうと考えました。

そこで目をつけたのが当時アメリカ第3位の規模を誇っていたスプリント。アメリカの携帯電話市場はAT&Tとベライゾンの2強状態。そこでスプリントを買収、さらにT-モバイルも買収して合併させることにより三つ巴の状況にしたかったわけです。しかし実際には、先日ソフトバンクがスプリントの経営権を手放すことになってしまいました。その顛末をまとめました。

実際にはT-モバイルの買収は破談となり、さらにスプリントも業績不振に陥りT-モバイルに抜かされてしまう結果となります。孫社長の目論見は失敗し、スプリントはソフトバンクグループにとって大きなガンとなってしましました。

そしてなんと、スプリントとTモバイルUSが2019年をめどに合併すると4月に発表しました。合併後の社名は「Tモバイル」。また現在のTモバイルの最高経営責任者のジョンレジャーがトップに就任することに。つまり、ソフトバンクはお荷物であったスプリントの「Tモバイルへの売却」へ合意した格好となります。

実際に米国の規制当局がこの合併を認めるのかは不透明を極めますが、もし決まるとなると20年の3月期からスプリントはソフトバンクグループの連結対象から外れることとなります。

JT、ターゲットは先進国から途上国へ

ソフトバンクと並ぶ「大型買収屋」は、JT(日本たばこ産業)です。タバコを商材としているのに、タバコとは関係ない、なんか雰囲気いい感じのCMをよく見ますね。国内のたばこ市場は健康志向の高まりや法整備の厳格化などで年4~5%のペースで縮小しており、残念ながら拡大は見込めません。ゆえに、たばこ事業では海外に飛び出ざるを得ない状況が続いていました。

JTは日本が不況にあえいでいた1999年、同業の米RJRナビスコを約9400億円で買収し、元々は国策会社であり安定志向だと思われていた会社がグローバル競争に突然名乗りをあげたことで話題になったようです。そして07年には、英たばこ大手ガラハーを約2兆2500億円で買収しました。ガラハーも含む2度の巨額買収で存在感を高め、日本や現地で様々な企業努力を重ねてきましたが、現状は独占禁止法の観点から企業買収での成長は難しくなっています。先進国で成長する余地が小さくなる中、フィリピンや南米といった新興国に目を向けて、シェア向上を急いでいます。

 

サントリー、「ビーム」の名前を得て世界的酒造メーカーへ

JTと同じく、縮む国内市場に危機感を抱いて買収に動くケースが多いのが食品・飲料会社です。サントリーホールディングス(HD)は14年、米蒸留酒大手のビーム社を約1兆6000億円で買収しました。バーボンブランド「ジムビーム」が非常に有名ですが、コニャックやテキーラなど蒸留酒を展開しているブランド企業です。お酒の国内市場が縮小する中、著名なブランドを持つ企業を傘下に収めて世界での競争力を高める狙いがありました。

買収から4年が経過した今、ウイスキー事業の世界販売は17年12月期連結決算(国際会計基準)で前の期比6~7%増と、市場全体の伸びを約2%上回ったそうです。結果として、買収で蒸留酒世界3位に躍り出ました。

しかし、世界首位との差はまだ大きいのが現状です。世界首位の英ディアジオとは売上高で2倍超の開きがあり、2位の仏ペルノ・リカールも高い壁です。新製品の開発や販売面でさらに協力を進め、これまで以上の成長を引き出せるかが課題となります。

伊藤忠商事、中国の大財閥と一蓮托生

伊藤忠商事は世界最大の人口を持つ中国市場の開拓に向けて、総合商社の中でも一番「中国」に力を入れています。2015年に中国の国有複合企業(財閥)、中国中信集団(CITIC)にタイの大財閥チャロン・ポカパン(CP)と共同で1兆2000億円を出資しました。

中国中信は中国の国家副主席も務めた故栄毅仁氏が創設した企業で、傘下に銀行や証券、不動産などの企業を持つ、とてつもない大財閥。伊藤忠は中国で電子商取引(EC)分野などの事業強化を狙っており、幅広い事業を手掛けるCITICとの協業を探っています。しかし、現段階で目立った買収の成果を出せたとはいえず、今後の戦略に注目が集まっています。

 

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30193700Y8A500C1000000/

モバイルバージョンを終了