今月8日、トランプ米大統領はイラン核合意からの離脱を表明しました。アメリカのこの決定が今、世界中を巻き込む大ニュースになっています。
しかし、「イラン核合意」と言われてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか。そんな「イラン核合意」の中身と、アメリカの離脱の背景・影響についてざっくり解説しました。
そもそも「イラン核合意」って?
イラン核合意の意義は、短期的にイランの核保有を防ぐことです。核軍縮をイランが受け入れる代わりに、イランに対する西洋諸国の経済制裁を解除してもらうことを目的としていました。加えてこの合意は中東諸国の核開発を防ぐ機能も持ち、この合意が中東情勢の安定に寄与する側面も持っていました。
しかし、トランプ米大統領は先日、国際社会の約束事項であるこの合意から離脱すると発表しました。トランプ大統領は以前からこの合意について「合意がイランの核武装の道を完全にふさいだわけではない」と批判しており、ついに行動に踏み切った格好です。アメリカにとってイランは、冷戦期から続く因縁の敵国同士。ここでイランに強硬な態度をとることで「強アメリカ」を米国民に見せ、支持率を高めようとする狙いがあるようです。しかし、離脱の影響は大きく、核拡散を懸念する声が高まっています。
イラン核合意をめぐる国際関係は?
イラン核合意をめぐり、国際情勢は合意支持派と合意反対派で二分されました。宗教的にも政治的にもイランのライバルであるサウジアラビアとイスラエルは今回もイランと敵対しており、そこにアメリカが入ってきた格好です。一方、アメリカ以外の調印国は変わらず支持し、世界中の核開発を監視する国際組織IAEA(国際原子力機関)もイランは核合意を遵守していると主張しています。
日本への影響は?
日本も決して、対岸の火事ではありません。原油の値段が高騰し、私たちの日常生活にも大きな影響が出る可能性があります。世界屈指の産油国であるイラン。そこで政治的に混乱は、石油の供給や価格に直接的な影響を与えます。例えば、イランに経済制裁の一環として「石油の輸出制限」が課されてしまうと石油が十分に供給されなくなり、価格は高騰してしまいますよね。既に原油価格は上昇の兆しを見せており、石油に大きく依存している日本経済は大打撃を受けるでしょう。今後の動向に注目です。
出典1:米離脱、中東混迷 イラン核合意:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30263210Z00C18A5MM8000/
出典2:イラン核合意 開発制限、見返りに制裁解除:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30290960Q8A510C1EA2000/