今年2019年は、3年に一度の参議院議員選挙と4年に一度の統一地方選挙が重なる、12年に一度の「選挙イヤー」です。
その口火を切る統一地方選挙の前半が、4月7日に日本全国で行われました。
そもそも統一地方選挙とは
都道府県知事や都道府県議会議員、市長や市議会議員を選ぶ「地方選挙」が、多くの地方自治体で同じタイミングで行われることから名づけられたもので、単独の選挙を指す名称ではありません。ただし、任期途中で辞職した知事がいた場合など、選挙のタイミングがずれることもあります。
例えば、2016年に当時の舛添要一東京都知事が辞任し、それを受けて行われた都知事選が行われたことから、次の都知事選は2020年に行われる予定であり、統一地方選のタイミングでは行われません。
今年の統一地方選は前半と後半に分かれており、前半となる4月7日では知事選や道府県議選、政令指定都市の市長・市議選が、後半となる4月21日には市区町村長選、市区町村議選が行われます。
争点になっている「多選」って?
多選とは、
「同じ人物が繰り返し知事選や市区町村長選で当選すること」
で、長期間同じポストに留まることを指します。具体的には、4期16年以上にわたって在職すると多選だと考えられることが多いようです。
では、具体的にどれくらいの知事が多選をしているのでしょうか?
現職の47都道府県のうち、実に13道県知事が4期以上在職しており、石川県の谷本正憲知事に至っては、現在7期目、25年間にわたって知事のポストにあります。
一般的にはネガティブな印象で使われがちな「多選」という単語ですが、実際にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?以下、実例を挙げながら見ていきます。
多選のメリット・デメリット
まず、多選のメリットは、一人の人物が長期間にわたって同じポストに在職することで、「政策に一貫性を持たせる」ことができ、長期的な視野に立ったプロジェクトが実行されやすいことだと言われています。
しかし、このような多選のメリットがどの市区町村でも見られるわけではありません。
むしろ、多選の結果として政治に緊張感がなくなり、斬新な政策が行われず、何年間も代わり映えのしない政策が継続される例も多く見られます。
また、多選の結果として、長年トップとして君臨する首長が専制化・独裁化し、周りの人の意見を聞かなくなるといった例もしばしば見られます。人事の面でも一部の側近だけが厚遇されるようになり、癒着による腐敗も起こりやすくなると指摘されています。
「多選」という単語が批判的な意味合いでしばしば使われるのには、このような背景があるのです。
実際に多選が争点となっている2つの選挙
ここで、今回の統一地方選挙で、多選が大きな争点になっている選挙を二つ紹介します。
一つは、東京都大田区長選挙です。
現職の松原忠義氏は、以前多選を禁止する条例を自ら制定したにもかかわらず、それを廃止して4期目を目指して立候補しています。対抗馬の岡高志氏は多選の弊害を強く訴えており、防災や福祉の問題に加えて重要な争点となっています。大田区長選挙には共産党などが推薦する神田順氏も立候補する予定です。またこの選挙は、70代の松原氏、神田氏と、40代の岡氏が対決する、世代間対決という側面も持っています。
もう一つは、現職の清原慶子氏と、新人で元三鷹市副市長の河村孝氏が対決する東京都三鷹市長選挙です。
清原氏は5選目を目指していますが、かつて清原市長の下で副市長を務めた河村氏は、長期間続く清原市政が三鷹市の活力やイノベーションを阻害しているとして批判しています。
4月21日の統一地方選で投票する方は、ぜひ多選についても考えてみてもらえればと思います!
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