【異常気象を止めろ!】COP24から探る気候変動の最前線 vol.1

今年の夏は日本に住む多くの人が「地球温暖化って実はやばいんじゃないか?」と感じたと思います。
毎日続く猛暑日や大量に発生する台風、大災害となった西日本での集中豪雨など様々な気候の変動が僕らの生活を脅かしていました。最近ではアメリカでの大規模な山火事の被害も拡大しています。

日本経済新聞では、

「日本各地で過去最高気温を更新するなど記録的な猛暑となっている。西日本豪雨のような異常気象が相次ぐほか、米国やアフリカなど世界各地でも最高気温を記録している。専門家は異常気象は長期的な地球温暖化の傾向と関係があると指摘している。(2018.7.21)」

と述べられています。

しかし、本当にそうなんでしょうか?

本当ならそれを防ぐために国際社会は何かしているのでしょうか?

私たちには何ができるのでしょうか?

この連載では、12月に行われるCOP24という気候変動を巡る国連の国際会議に参加する大学生が最新の気候変動を巡る議論を「分かりやすく」お届けします。

温暖化って、本当なの?

皆さんは、地球が温暖化していると思いますか?
学校では当たり前のように地球温暖化について勉強しますが、一方で米トランプ大統領は兼ねてから温暖化は「でっちあげだ」と断言しています。

もちろん科学は常に不確定な要素が含まれますが、現状では多くの科学者が人間の活動により地球が温暖化し、気候変動が起こっているということを認めています。

国連に委託され気候変動について科学的な調査をしているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、

「世界の平均気温は産業化以前に比べて現時点で1.0℃上昇しており、このままのペースで気温上昇が続けば、2040年前後には1.5℃に達してしまう。」

とする報告書を提出しました。

まあ、1.5℃上がるだけならなんとか大丈夫そうだよね。お風呂も1.5度くらいなら上がっても問題ないし。」と思っているそこのあなた。
実は気候変動の問題はもうすでに環境問題の枠を超えているのです。

泥沼化するシリア紛争も実は気候変動による大規模な干ばつが遠因であるとの研究もあります。
つい最近では、アメリカ政府は気候変動による経済的損失は年間数千億ドルになると言う報告書を発表しています。

つまり、気候変動問題を放置することは「環境だけでなく経済や安全保障のリスクを軽視すること」と同義なんです。

危機感、湧きませんか??

人間が何かにモチベーションを抱く要因の一つには「危機感」があります。
特に気候変動の問題は早めに対処をしないと私たちの世代やさらに下の世代で被害が最大化します。つまり私たちの問題そのものなんです。
この記事が皆さんの行動のきっかけになれば嬉しいです。

国際社会は今まで何をしてきたのか?

さて、気候変動がヤバイことは理解いただけたと思います。
それでは、国際社会は気候変動の被害を指を咥えて見ていたのでしょうか?

実はここ数年で気候変動対策を巡る世界での議論は大きく加速しているんです。
今回は気候変動に関する流れを加速させた要因を2つ解説します。

パリ協定

(筆者作成)

聞いたことあるひとも多いのではないでしょうか?
これは2015年にパリで開催されたCOP21という気候変動に関して交渉する国連の会議で締約された国際条約です。
この協定は、今まで気候変動について国際的にルールを規定していた京都議定書(社会の授業で習った方も多いのでは?!)に代わり、2020年以降の新たな国際社会のルールを決定したものです。
このパリ協定をきっかけに「気候変動を抑制しよう!!」というムーブメントがより大きくなったのは言うまでもありません。

 

SDGs

もう一つが「SDGs(持続可能な開発目標)」です。
2015年から2030年まで持続可能な社会を創るための17のターゲットを定めたものです。
ここでもGoal13に「Climate Change(気候変動に具体的な対策を)」と言うものが設定されています。このSDGsにより様々な国際問題を包括して解決しようとする大きな潮流を政界だけでなく産業界にもつくり出しました。

これら2つのことが契機となり、政治、経済、ビジネス、市民社会に「気候変動」に関する大きな流れが生まれたのです。

次回は…

今回は温暖化を巡る最新の科学的な情報と、それに対する国際社会が行ってきた対策について解説しました。筆者はこれから12月にポーランドで開催されるCOP24に参加してきます。
次回はCOP24という気候変動に関する議論の最前線での情報や感じたことをお話したいと思います。

(横浜市立大学4年 宮川 健太郎)

参考文献

・猛暑、世界的な現象 専門家「温暖化と関係」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33259290R20C18A7EA5000/
・IPCC特別報告書 政策決定者向け要約(仮訳)
https://www.env.go.jp/press/files/jp/110087.pdf
・地球温暖化対策 なぜ1.5℃未満を目指すのか -IPCC特別報告書を読む
https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20181104-00102886/
・IGES 気候変動とエネルギー : 国際交渉特集
https://www.iges.or.jp/jp/climate-energy/cop.html
・Climate change in the Fertile Crescent and implications of the recent Syrian drought
http://www.pnas.org/content/112/11/3241
・CNN 米政府報告書、気候変動に警鐘 トランプ氏主張と矛盾
https://www.google.co.jp/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35129133.html

 

ライター

宮川健太郎
横浜市立大学の4年生。気候変動交渉について研究中。青年環境NGO Climate Youth Japanに所属をしており、COP24に参加。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です